「将来の人材不足に備えたいが、どの国に注目すればよい?」と悩んでいる企業担当者も、多いのではないでしょうか。
国や地域によって人口構造の変化は異なり、採用戦略にも大きな影響を及ぼします。しかし、世界各国の今後の人口増加・減少の動向を把握するのは大変ですよね。
そこで本記事では、国連の最新データに基づいた国別の最新人口ランキングや、今後人口が大きく増える国・減る国、世界人口の長期的な予測について解説します。
外国人採用の視点から世界の人口動態を読み解くヒントを得るためにも、ぜひ参考にしてください。
1. 国別人口ランキングTOP10
国連人口基金(UNFPA)が公開した「世界人口白書(2025年版)」によると、世界の国別人口ランキングTOP10は、下表のとおりです。
国名 | 人口 | |
1位 | インド | 14億6,390万人 |
2位 | 中国 | 14億1,610万人 |
3位 | アメリカ | 3億4,730万人 |
4位 | インドネシア | 2億8,570万人 |
5位 | パキスタン | 2億5,520万人 |
6位 | ナイジェリア | 2億3,750万人 |
7位 | ブラジル | 2億1,280万人 |
8位 | バングラデシュ | 1億7,570万人 |
9位 | ロシア | 1億4,400万人 |
10位 | エチオピア | 1億3,550万人 |
2025年の最新の世界人口は82億3,200万人に達し、前年から約1億1,300万人増加しました。
2023年にインドが中国を抜き、世界で最も人口の多い国となりましたが、今後もその差はさらに開いていくと予測されています。
ランキング上位にはアジアやアフリカの国々が多く、世界の人口増加を牽引しているといえるでしょう。
なお、日本の人口は1億2,310万人で世界12位です。人口減少が進行中であり、外国人材の活用が今後ますます重要となる状況となっています。
2. 人口増加数が顕著な国と日本の見通し
現在の人口規模だけでなく、将来的な人口の伸びも採用戦略を立てる上で重要な視点です。
ここでは、特に人口増加が著しく将来の労働力供給源として注目される国々と、対照的な日本の状況を紹介します。
国名 | 2023年-2024年の人口増加数 |
インド | 約1,310万人 |
ナイジェリア | 約540万人 |
パキスタン | 約470万人 |
エチオピア | 約320万人 |
コンゴ民主共和国 | 約330万人 |
日本 | 約 -70万人 |
※出典:国連人口基金(UNFPA)「世界人口白書2023・2024」より筆者算出
(1) インド:世界最大の人口国に
インドは、2023年に中国を上回り世界最大の人口国となりました。
国連の推計によると今後も人口は増え続け、2060年代に約17億人まで達し、ピークを迎える見込みです。
現在は、平均年齢が28.2歳と若年層人口が非常に多くなっており、この「人口ボーナス」を活かした経済成長が期待されています。
英語が普及しており、高度人材の供給国としての注目度が高いのもインドの特徴です。
ITや医療分野で優れた人材を多数輩出しており、将来的には労働市場で大きな存在感を示すでしょう。
(2) ナイジェリア:アフリカの成長エンジン
ナイジェリアはアフリカ最大の人口を誇る国です。
2050年前後にはナイジェリアの人口がアメリカと肩を並べ、その後追い抜いていくと予測されています。
若年層の比率が非常に高いため、2060年頃までに人口が4億人近くに達するでしょう。
教育水準やインフラの整備が進めば、将来的な人材供給地としての可能性がさらに広がり、その成長ポテンシャルは計り知れません。
豊富な天然資源と若さに満ちた労働力を背景に、アフリカ経済の中心として注目されています。
(3) パキスタン:南アジアの急成長国
世界第5位の人口を持つパキスタンも、著しい人口増加が続く国のひとつです。
2100年には、現在の約2倍にあたる5億人を超えると予測されています。
宗教的価値観や文化の違いを踏まえた受け入れ体制の整備が求められるものの、若年層の多さと海外就労への意欲の高さがパキスタンの魅力です。
製造業や建設業などでの活躍が期待されています。労働力人口の増加は、経済成長の追い風となるでしょう。
(4) エチオピア:急速に都市化が進行中
世界第10位の人口を持つエチオピアは、アフリカの中でも特に人口増加と都市化が急速に進んでいる国です。アフリカ東部に位置しており、人口も1億人を超えています。
首都アディスアベバはアフリカ連合(AU)の本部が置かれており「アフリカの政治首都」としての側面もあります。
都市化が急速に進んでおり、今後は農業中心の社会から工業・サービス業への転換が本格化していくでしょう。
労働力としての潜在力は大きく、海外での就労を希望する若者も増加傾向です。
(5) コンゴ民主共和国:若年人口が急増中
中部アフリカに位置するコンゴ民主共和国では現在、若年層の人口が急増中です。2050年までに人口が倍増し、2億人を超えると予測されています。
今後数十年で、世界有数の人口大国となるでしょう。
ただし、現在は長年の紛争などの影響で経済は依然として厳しい状況です。
また、豊富な天然資源に恵まれているものの、現時点では教育やインフラの課題も抱えています。
課題はあるものの、中長期的に人材が増えると予測されているため、今後は人材獲得の需要が高まると考えてよいでしょう。
(6) 日本:世界有数の人口減少国
日本は人口約1億2,310万人と世界12位と高水準の人口を誇りますが、世界でも有数の人口減少国です。
2024年10月1日時点の総務省の発表によると、日本の総人口は約1億2,380万人で、14年連続の減少となりました。
国連の推計では、今後も日本の人口減少は加速し、多くの先進国と同様に大幅に減少していくと見込まれています。
国内だけでの労働力確保はますます困難になり、海外からの人材受け入れが不可欠となるでしょう。
3. 今後の世界人口予測
今後の世界人口は、どのように推移していくのでしょうか。国連の最新推計を基に、注目すべき動向を解説します。
(1) 世界人口は2080年代半ばにピークを迎える予測
2025年現在の世界人口は82億人を超えており、今後も増加すると予測されています。
2080年代半ばには約103億人でピークを迎えた後は、出生率の低下や高齢化の進行により、緩やかな減少に転じる見込みです。
2100年には102億人程度になると見られており、人類の歴史上、初めて経験する大規模な人口縮小時代の始まりとなるでしょう。
(2) アフリカ・南アジアを中心に人口増加
今後の人口増加は、サハラ以南のアフリカと南アジアの国々が中心となる見込みです。
2050年には、世界人口の4分の1にあたる約25億人がアフリカに居住すると予想されています。
特にナイジェリア、エチオピア、コンゴ民主共和国は出生率が依然として高く、若年人口が豊富です。人材を確保したい国々から、今後ますます注目されるでしょう。
(3) 先進国では人口減少が加速
日本を含む多くの先進国では、すでに出生率が人口を維持するのに必要な水準を下回っており、人口減少が加速していくでしょう。
中国やドイツ、日本、ロシア連邦を含む63の国と地域では、すでに人口がピークに達しており、今後30年間でこれらの国々の総人口が14%減少するという国連の予測もあります。
現在では出生率が2.1を下回る国が増え、高齢化も進行しているため、生産年齢人口の縮小が続いている状況です。
特に日本は世界でも先行して人口減少を迎えており、他国に先駆けて外国人材の受け入れを進める必要性があるでしょう。
4. まとめ
本記事では、最新の人口ランキングや増加傾向にある国々、今後の世界人口の推移について解説しました。
今後も人口が増加すると見込まれる一方で、増加の中心はアフリカや南アジアなどの新興国に移りつつあります。ナイジェリアやインド、コンゴ民主共和国など、若年人口が多く成長ポテンシャルの高い国々は、今後の人材確保の面で大きな注目を集めるでしょう。
一方、先進国では人口減少と高齢化が進み、生産年齢人口の確保が喫緊の課題となっています。なかでも日本では、今後さらに外国人材の受け入れが不可欠となるでしょう。
深刻な人材不足という課題を乗り越え、企業が持続的に成長していくためには、グローバルな視点での人材獲得戦略が不可欠です。国際的な人口構造の変化を正しく捉え、多様な人材を活かす環境整備に取り組むことが、持続的な成長につながるでしょう。