外国人労働者の賃金の実情

「外国人労働者の賃金は安い?」

「外国人労働者の賃金はどうやって設定すればいいの?」

このような疑問をお持ちではありませんか?

現在、日本では外国人労働者の賃金に関するトラブルが相次いでいます。

そこで本記事では外国人労働者の賃金について、基礎知識や実情を詳しく解説します。

外国人採用を正しく行うためにも、ぜひ参考にしてください。

1. 外国人労働者の賃金制度

外国人に限らず労働者には最低賃金制度が適用されます。

最低賃金制度とは「最低賃金法に基づき、国が賃金の最低限度を定め、使用者は、その最低賃金金額以上の賃金を支払わなければならない」とする制度です。

※引用:厚生労働省

最低賃金法を守らない場合は違法となり、罰金が課される場合があります。

最低賃金は地域によって異なりますが、令和6年度の全国加重平均額は「1,055円」です。

※参考:厚生労働省

都道府県ごとの最低賃金は厚生労働省のサイトから確認できます。

また、外国人労働者に関係のある制度として「同一労働同一賃金」という考え方があります。同一労働同一賃金とは、正規雇用労働者と非正規雇用労働者との間にある待遇差を解消するための考え方です。一言で表すと「同じ業務内容であれば、同じ賃金を支払うべき」という考え方です。同一労働同一賃金は外国人労働者にも適用されます。

このように外国人労働者だからといって、賃金に格差が起こるような仕組みではありません。

しかし、実情はどうなのでしょうか。

詳しく解説します。

2. 外国人労働者の賃金の実情

外国人労働者の賃金の実情を以下の3つの観点から解説します。

  • 外国人労働者の賃金
  • 外国人労働者から見た自国と日本の賃金の差
  • 外国人労働者に関係するトラブル

(1) 外国人労働者の賃金

厚生労働省によると令和6年の外国人労働者の賃金は以下の通りです。

在留資格区分賃金(千円)
外国人労働者計242.7
専門的・技術的分野(特定技能を除く)292.0
特定技能211.2
身分に基づくもの300.3
技能実習182.7
その他(特定活動及び留学以外の資格外活動)226.5

日本人一般労働者の賃金は男女計で330.4(千円)なので、外国人労働者の賃金は日本人労働者の賃金に比べて低くなっています。

最低賃金法や同一労働同一賃金という考え方があるのに、外国人労働者の賃金が低い主な理由は在留資格の目的の違いです。上記の表の通り在留資格「技能実習」の賃金は182.7(千円)と最低水準です。技能実習は開発途上国の人材に日本の技術を学んでもらい、帰国後に日本で学んだ技術を活かして、母国の発展に寄与してもらうことを目的としているためです。「労働」よりも「研修」というイメージがわかりやすいでしょう。

また、多くの技能実習生は農業や製造業などの賃金水準が低い業種で働くケースがほとんどである点も、大きな理由です。

このような理由から、技能実習の賃金が低くなっています。

しかし、技能実習だからと言って、最低賃金を下回ることは違法なので、注意が必要です。

※参考:厚生労働省「令和6年賃金構造基本統計調査」

(2) 外国人労働者から見た自国との賃金の差

外国人労働者から見た自国の賃金と日本の賃金にはどのような差があるのでしょうか。

日本での労働者数が多い上位3か国の賃金を紹介します。

平均賃金(千円)
ベトナム※136.792
中国※2200.437
フィリピン※345.170

※1 日本貿易振興機構(JETRO)(2022年)

※2 CEUC Data(2023年)

※3 フィリピン統計局(2022年)

※2025年4月11日時点での為替レートで日本円に換算

物価、参照元、比較年などの違いはありますが、外国人労働者の賃金は日本人労働者の賃金に比べて低いことがわかります。

このような理由から日本人から見ると低く見える賃金水準でも、外国人労働者にとっては自国よりも稼げる賃金水準のため、外国人労働者の賃金は低くてもOKという考え方が広がっています。

(3) 外国人労働者に関係するトラブル

実際に外国人労働者の賃金と関係する問題が起こっています。

例えば、愛知県豊田市にある人材派遣会社では、雇っていたベトナム人約200人の給料2ヶ月分が未払いだった事件がありました。さらにその事件では、ベトナム人らは技術・人文知識・国際業務という高度人材向けの在留資格を持っているのにもかかわらず、工場などで単純労働をさせられていました。

※技術・人文知識・国際業務では原則単純労働が認められていない

※参考:NHK

このように外国人労働者の賃金や労働環境が問題点となっています。

3. 外国人労働者が日本で働くメリット

では外国人労働者が日本で働くメリットはどこにあるのでしょうか?

具体的に紹介します。

(1) 雇用が安定している

日本では不当な理由で解雇されることがないため、外国人労働者は安定して働けます。

日本に「終身雇用」という考え方が根底にある点も大きいでしょう。

また、雇用が安定していれば、キャリアアップもしやすくなります。転職が当たり前で雇用が不安定な外国には無い日本の良さです

また、自国に比べて賃金水準が高く、稼ぎやすいという点も大きなメリットです

(2) 保険制度が手厚い

日本は健康保険をはじめとする保険制度が整っています。

一定額を支払うことで、外国人であっても日本人と同じ健康保険に加入できます。

健康保険に加入していれば、万が一大きな怪我や病気になっても、自己負担額を抑えられるので、安心して暮らせます。

(3) 治安が良い

日本は外国に比べて治安が良いと言われています。

銃社会ではない点が大きな理由と言えるでしょう。

世界の国・地域別の平和度のスコアおよびランキングである「世界平和度指数」では、日本は17位と上位に位置しています。

※参考:セカイハブ

4. 外国人労働者を正しく採用しよう

外国人労働者の賃金を決める場合は「労働基準法」に従うことが基本です。

先ほども触れたように、最低賃金法や同一労働同一賃金を守る必要があります。

一言で表すなら「日本人と同等以上の賃金」に設定することが重要です。

外国人労働者を採用する上で大切な知識を身に着け、正しく外国人材を採用しましょう。

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