外国人採用に積極的な日本企業10選!取り組みと企業成長戦略

少子高齢化による労働人口減少が進む日本において、人材確保は企業の持続的成長における重要課題です。多様な視点や専門スキルを持つグローバル人材への期待は高く、外国人採用に乗り出す企業も増えています。

本記事では、外国人採用に積極的な日本企業10社を厳選し、行っている取り組みを紹介します。

1. 株式会社メルカリ

フリマアプリ「メルカリ」を運営する株式会社メルカリは「あらゆる価値を循環させ、あらゆる人の可能性を広げる」というミッションを掲げ、外国人採用を積極的に進めています。

約50か国からプロフェッショナル人材が集まる企業です。

(1) 主な採用職種

特にエンジニア職を積極的に採用している傾向にあります。外国籍社員比率は、全体で25.7%、管理職が25.7%、エンジニア組織で53.8%です。プロダクト関連職やコーポレート部門でも採用を実施しています。

(2) 新卒・中途

新卒・中途ともに、通年で採用を実施。現場の第一線での早期活躍できる即戦力となる人材を求めており、年齢・国籍・性別の垣根なく採用しています。

(3) 社内の取り組み

社内公用語は制定していないものの、業務で使用される言語は日本語と英語です。Language Education Team(LET)という言語教育専門のチームでは、メンバーの語学力向上もサポートしています。

また、多文化・多国籍のメンバーが集まるチームで発生しがちな「コミュニケーションバリア」の対策チームも設置。相手や状況に合わせ、自分のコミュニケーションスタイルを調整できるようサポートを提供しています。

2. 楽天グループ株式会社

Eコマースから金融、モバイルまで多角的に事業を展開する楽天グループ株式会社は、グローバル競争力強化のため、世界中から優秀な人材確保を目指し、外国人採用を推進しています。

従業員の国籍数は100を超えており、社内の23.6%が外国人材です。

(1) 主な採用職種

ITエンジニアを中心に、ビジネス職、コーポレート職など多岐にわたります。楽天グループには多様な職種と組織が存在するため、入社後にもキャリアステップへの選択肢が多いのも強みといえるでしょう。

(2) 新卒・中途

新卒・中途ともに大規模に実施。海外での採用活動も活発です。

(3) 社内の取り組み

社内公用語を英語としており、国籍を問わないコミュニケーション基盤を構築。多様性を重視する企業文化のもと、ビザ申請サポート、日本語学習支援、社員食堂の多様な食文化への配慮など、サポート体制も充実しています。

3. パナソニック株式会社

総合電機メーカーのパナソニックは、グローバル市場での競争力強化と持続的成長のため、ダイバーシティを経営の柱とし、外国人採用に取り組んできました。

多様な人材がそれぞれの力を最大限発揮できる最も働きがいのある会社」となることを目指し、Diversity, Equity & Inclusionを推進しています。

(1) 主な採用職種

研究開発、設計、生産技術、品質管理、営業、マーケティングなど幅広い職種で人材を募集しています。

(2) 新卒・中途

新卒・中途ともにグローバル人材を採用中です。日本国内だけでなく、海外の現地で働く人材も募集中です。

(3) 社内の取り組み

パナソニックグループでは、多様性推進の機会を設けるために社内イベント「D&Iフォーラム」を毎年開催。

また、国や地域を越えた異文化理解の視点も持てるよう、社内での対話やコミュニティ活動にも力を入れており、無意識に持っている偏見に気づけるよう、研修も実施しています。

4. 株式会社ファーストリテイリング

「ユニクロ」「ジーユー」を展開し、世界中のお客様に最も愛されるNo.1ブランドを目指す株式会社ファーストリテイリングでは、世界水準の高度専門人材の採用を強化しています。

(1) 主な採用職種

マーケティング・事業経営やサプライチェーンマネジメント、デジタル業務改革、クリエイティブなど、多様な職種で人材を募集しています。

(2) 新卒・中途

新卒・中途ともに、国籍問わずポテンシャルのある人材を求めています。

(3) 社内の取り組み

外国籍の従業員が自身の能力を最大限発揮し、活躍できる環境を充実させるために「ダイバーシティ推進チーム」を設けて、次のような取り組みを行っています。

  • 外国籍従業員を対象としたアンケート調査
  • 外国籍従業員と執行役員が参加するラウンドテーブルディスカッション
  • メンター制度
  • 日本での生活や仕事についての相談窓口設置 など

なお、日本国籍以外の管理職の割合は、グループ全体で55.5%と非常に高い水準です。

5. 本田技研工業株式会社 (Honda)

世界的な輸送機器メーカーであるHondaは「人間尊重」の理念に基づき、国籍・性別・学歴などに左右されない、意欲ある人材の採用に取り組んでいます。

(1) 主な採用職種

四輪・二輪・各種研究開発・生産技術・営業など多岐にわたります。特に技術系職種での採用に注力している傾向です。

(2) 新卒・中途

新卒・キャリア採用ともに門戸を開放しており、留学生向けの選考プロセスも用意されています。

(3) 社内の取り組み

採用面接は日本語のみですが、書類選考や適性検査を英語で受験可能です。

「人間尊重」の理念に基づき、人種・国籍・文化などの属性に等しく機会を有するよう、採用体制を整えています。

グローバル規模で次世代のリーダーを選抜・育成し、適所適材を実現するミッションも実行中です。

6. 味の素株式会社

味の素株式会社では「アミノサイエンス®で、人・社会・地球のWell-beingに貢献する」理念に共感する人材を、国内外から採用しています。

(1) 主な採用職種

研究開発、生産技術、品質保証、マーケティング、セールス、コーポレートなど幅広い職種で人材を募集しています。

(2) 新卒・中途

新卒・中途ともに国籍問わず、海外大卒者やグローバル経験者を積極的に求めています。

(3) 社内の取り組み

ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョン(DE&I)の推進チームを設置。性別・年齢・国籍・障がいの有無・経験によらず、社員一人ひとりが互いを尊重し合える取り組みや、社外評価も取り入れています。

ダイバーシティ研修やDE&Iランチセミナーなど、社内の仕組みを整備し、多様性を受容する組織風土づくりにも注力しています。

7. ロジスティード株式会社(旧:日立物流)

グローバルな物流サービスを提供するロジスティード株式会社では、新しい視点を持ち、ダイナミックな発想ができる人財を国内外から求めています。

(1) 主な採用職種

総合職・経理・ 国内戦略営業部などで募集しています。

(2) 新卒・中途

新卒・中途採用を実施しています。

(3) 社内の取り組み

ダイバーシティ&インクルージョンの重要性への理解促進を図るため、次のような取り組みを実施しています。

  • ダイバーシティ講演会の開催
  • ダイバーシティ&インクルージョン教育
  • 外国籍社員の継続採用

8. NTTコミュニケーションズ株式会社

ICTサービス・ソリューション事業・国際通信事業を展開するNTTコミュニケーションズ株式会社では、多様な人材が活躍できるよう国籍や人種にとらわれない採用活動に取り組んでいます。

(1) 主な採用職種

ICTエンジニア、データサイエンティスト、セールス、コンサルタント、研究開発など、採用職種は多岐にわたります。

(2) 新卒・中途

新卒・中途採用ともに実施。優秀な海外人材を現地採用しており、新卒採用のおよそ2割が外国人であり、管理職にも外国人を登用しています。

(3) 社内の取り組み

グローバル人材育成プログラムや海外派遣制度が充実しています。英語と日本語で連絡を取れる環境や業務プロセスの可視化・標準化の推進により、外国人社員が働きやすい環境を整備。

年に3~4回の面談を実施しており、外国人が定着しやすいようなサポートもしています。

9. ブラザー工業株式会社

プリンターやミシン等をグローバル展開するブラザー工業株式会社は「At your side.」の精神のもと、多様な顧客ニーズに応えるため、外国人採用を積極的に行っています。

(1) 主な採用職種

研究開発・商品企画・生産技術・営業企画など、多くの分野・職種で人材を募集しています

(2) 新卒・中途

新卒・中途採用ともに実施しており、特に新卒では海外の大学から直接の人材採用にも対応しています。

(3) 社内の取り組み

優れた人財が国境を越えて適材適所に配置され、グループを牽引できるよう、次のような施策でDiversity, Equity&Inclusionの推進に取り組んでいます。

  • 海外拠点責任者の現地登用促進・現地での雇用機会創出
  • 給与や人事制度は日本人社員と同じものに統一
  • 必要に応じて日本語学校での学習サポート

10. 株式会社ファミリーマート

大手コンビニチェーンの株式会社ファミリーマートでは、留学生・海外新卒を積極的に採用し、多様なポストで登用しています。

(1) 主な採用職種

店舗のストアスタッフ(アルバイト・パート)が、主な採用職種です。ファミリーマートではおよそ9%の外国人スタッフが働いています。

(2) 新卒・中途

ストアスタッフは随時募集中です。社員も新卒・中途採用を実施しており、新卒採用の2割を外国人が占めています。

(3) 社内の取り組み

未経験で日本語が得意でない外国人も働けるよう、次のような取り組みを実施しています。

  • 外国籍スタッフ向けの研修
  • 動画やマンガのマニュアルを用意
  • 内定後・入社後も日本語研修を継続実施
  • 外国人社員への外国人メンター制度の導入
  • 外国人社員の個性や適性を踏まえて多様なポストに柔軟に配置

11. まとめ

今回は、外国人を積極的に採用している日本企業10社を紹介しました。

各社の取り組みを見ると、外国人採用を単なる人手不足の解消策している企業は少ないことがわかります。多様な価値観や専門性を取り込んでイノベーションを促進し、グローバル市場での競争力を高める企業成長戦略として位置づけている企業が多い傾向です。

各社の取り組みを参考に、外国人採用を自社の発展のきっかけとしてみてはいかがでしょうか。

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