外食業で人手不足に悩んでいる担当者の方も多いのではないでしょうか。
本記事では外食業における人手不足の解決策として注目されている特定技能「外食業」での外国人採用について解説します。
概要、メリットや注意点、具体的な流れなどがわかるので、採用担当者の方はぜひ参考にしてください。
1. 外食業の現状
現在、外食業の人手不足が深刻化しています。
飲食店に特化したリサーチサービス「飲食店リサーチ」によると、飲食店の40%が人手不足と答えています。
※参考:PR TIMES
外食業の人手不足の主な原因は以下の通りです。
- 労働条件が良くない
- 離職率が高い
- 仕事内容が過酷
外食業で人手不足が起こると、サービスの質や顧客満足が低下するなど問題が起こってしまいます。人手不足の解決策として注目されているのが特定技能「外食業」での外国人採用なのです。
2. 特定技能「外食業」について
まず、特定技能とは国内で人手が不足する産業分野において、一定の専門性・技術を持つ外国人を受け入れることで、人手不足の解消を目指す制度です。特定技能に該当する産業分野は16種類あり、その中の1つが「外食業」です。特定技能には1号と2号がありますが、外食業はどちらにも該当します。
(1) 受入可能業務
特定技能「外食業」では外食業全般に主として従事できます。
主な業務は以下の通りです。
- 飲食物調理(客に提供する飲食料品の調理、調整、製造を行うもの)
- 接客(客に飲食料品を提供するために必要な飲食物調理以外の業務を行うもの)
- 店舗管理(店舗の運営に必要となる上記2業務以外のもの)
また、具体的な職種の例は以下の通りです。
- レストラン
- 食堂
- 食事を提供するカフェ・喫茶店
- テイクアウト専門店
上記に加えて、店舗で原材料として使用する農林水産物を生産したり、店舗における調理品等以外の物品の販売等を行ったり、関連業務を付随的に行うことが可能です。
※参考:農林水産省
(2) 雇用形態
特定技能「外食業」で外国人を採用する場合は直接雇用かつフルタイムであることが条件です。
(3) 受入要件(外国人)
外国人が特定技能「外食業」で働くためには、以下の試験に合格する必要があります。
- 外食業特定技能1号技能測定試験
- 日本語能力試験(JLPT)(N4以上)or国際交流基金日本語基礎テスト(JFT-Basic)
※参考:農林水産省
外食業特定技能1号技能測定試験とは、外国人が日本の外食業で働くために必要な能力を測る試験です。学科試験と実技試験に分かれており、学科試験では日本語能力、実技試験では判断力と計画性を測定します。合格率は約60%以上と言われています。日本国内だけでなくベトナム、インドネシア、カンボジアなど国外でも試験を受けられます。
日本語能力試験とは日本語を母国語としない人の日本語能力を測る試験です。
特定技能「外食業」で働くために必要な「N4」は「基本的な日本語を理解することができる」レベルです。日本語能力試験でN4を取得する代わりに、国際交流基金日本語基礎テスト(JFT-Basic)に合格する方法もあります。国際交流基金日本語基礎テスト(JFT-Basic)は「ある程度日常会話ができ、生活に支障がない程度の能力」があるかどうかを判定するテストです。
(4) 受入要件(企業)
特定技能「外食業」で外国人採用を行う企業の要件は以下の通りです。
- 食品産業特定技能協議会への加入
- 登録支援機関への登録
特定技能「外食業」で外国人を受け入れる企業は、食品産業特定技能協議会(以下協議会とする)の構成員になる必要があります。協議会とは「構成員の連携の緊密化を図り、制度や情報の周知、法令遵守の啓発のほか、地域ごとの人手不足の状況を把握し、必要な対応等を行う」ための組織です。初めて特定技能外国人を受入れ予定で、これから出入国在留管理庁へ手続きを行う計画がある場合は出入国在留管理庁への在留諸申請の前に、協議会に加入が必要です。
※参考:農林水産省
また、特定技能「外食業」で外国人採用を行う受入機関は登録支援機関への登録も必要です。特定技能1号で外国人を受け入れる企業は「支援計画」を作成し入国から帰国までの一連をサポートしなくてはいけません。しかし、要件が多く、義務付けられて支援などを実施できない企業も沢山あります。そのような企業に代わって一連のサポートをしてくれるのが登録支援機です。
3. 特定技能「外食業」で外国人採用を行うメリットと注意点
特定技能「外食業」で外国人採用を行うメリットと注意点を解説します。
(1) メリット
特定技能「外食業」で外国人採用を行うメリットは以下の通りです。
- 幅広い業務を任せられる
- 即戦力の人材を雇用できる
- インバウンド対策ができる
特定技能は他の在留資格に比べて制限が少なく、外国人に幅広い業務を任せられます。
例えば、技能実習として外国人を採用した場合は「調理」しかできませんが、特定技能「外食業」であれば調理だけでなく、接客や店舗管理も可能です。
また、特定技能「外食業」を取得するためには技能試験と日本語能力試験に合格する必要があるため、一定の能力が確約されています。外国人材育成にかかる手間や時間を抑えられるでしょう。
さらに、インバウンド対策もできます。
外国人のホールスタッフなどを採用すれば、英語など他言語での対応も可能です。
(2) 注意点
特定技能「外食業」で外国人採用を行う際の注意点は以下の通りです。
- 関連業務のみの作業はできない
- 従事できない形態がある
- 日本人と同等以上賃金を支払う必要がある
採用した外国人に関連業務だけを行わせるのはルール違反です。
関連業務をお願いする場合は、付随的な範囲に留めましょう。
また、特定技能「外食業」で採用した外国人を接待飲食営業等に従事させることはできません。接待飲食営業にはキャバクラやナイトクラブなどが該当します。
さらに、特定技能「外食業」で採用した外国人には日本人と同等の賃金を支払う必要があります。「外国人で日本語が不自由だから」「経営が厳しいから」という理由で外国人の給料を安く設定することはできません。
4. 特定技能「外食業」で外国人を採用する流れ
特定技能「外食業」で外国人を採用する流れは以下の通りです。
- 募集を行うor採用プラットフォームを利用する
- 書類選考・面接を行う
- 外国人労働者と特定技能雇用契約を結ぶ
- 特定技能外国人支援計画を作成する(or委託する)
- 事前ガイダンスを実施する
- 在留資格申請を行う
- 在留資格認定書を外国人労働者に送る
- 外国人労働者が入国する
- 就労開始