イラン人採用を解説

外国人採用ではあまりメジャーでないイラン人ですが、実は親日国であるなど、日本と相性の良い一面があることをご存じですか?

本記事ではイラン人雇用について、メリットや注意点、具体的な流れを紹介します。外国人採用を考える担当者の方は、ぜひ参考にしてください。

1. イランについて

イラン人雇用について解説する前に、イランの基本情報を紹介します。

  • イランの平均賃金
  • イランの主要産業
  • 在日イラン人について

(1) イランの平均賃金

イランの平均賃金は約1万5,000円です。

ただし、イランは経済制裁やインフレなどによって為替レートが大きく変動するので、賃金は状況によって異なります。

日本の平均月収(2023年)は約31万8,300円※なので、賃金には格差があります。

※参考:厚生労働省

また、イランは物価が安く、水1.5Lなら約60円、観光施設の入場料なら約500円と、日本と比べると物価は安くなっています。

(2) イランの主要産業

イランの主要産業は石油関連産業で、国家歳入の約8割が石油販売収入です。

日本の原油需要の約10%も供給しており、日本にとって重要な石油輸入先国でもあります。

その他に農業、製造業、サービス業なども盛んです。

(3) 在日イラン人について

法務省の在留外国人統計によると、2023年12月の調査では日本に滞在するイラン人は4,313人でした。内訳は以下の通りです。

  • 永住者:2,617人
  • 日本人の配偶者留学:311人
  • 家族滞在:254人
  • 定住者:227人

※5位まで

※参考:法務省「在留外国人統計」

2. 日本とイランの歴史

日本にイラン人が増えたのは1988年のイラン・イラク戦争の後です。

日本とイランはビザ相互免除協定を締結していたため、簡単に出入国ができました。そのような緩い出入国管理のせいもあり、1992年には不法滞在者が4万人を超え、違法薬物や変造テレホンカードの売買が問題になりました。

その後、経済不況や不法滞在者の増加を受けてビザ相互免除協定が終結し、日本に滞在するイラン人が激減したという歴史があります。

(1) イランは特定技能から除外されている

イラン人雇用を考える上で大切なのが、イランは特定技能から除外されている点です。

イランは日本から帰国命令や退去命令が出たイラン人を入国不可とするため、万が一雇用するとなると、移民・難民として受け入れる形になってしまいます。実際に不法滞在を続けるイラン人が問題になっています。

イラン人を日本で雇用する場合、特定技能以外の在留資格で雇用する必要がある点に注意しましょう。

(2) イラン人雇用のメリット

イラン人雇用のメリットは以下の通りです。

  • 親切な人が多い
  • コミュニケーション能力が高い
  • 親日家

(3) 親切な人が多い

イラン人は「平等」や「富の分配」などイスラム教の考えが根底にあるため、親切です。

イランに旅行に行くと「何か困っていることは無いか」「宿が無ければうちに泊めてあげるよ」などフレンドリーに声をかけてくれます。よく海外で耳にするぼったくりなども少ないようです。

イラン人の親切さは日本の「おもてなし精神」と通ずる考えがあり、接客業やサービス業などで活躍してくれるでしょう。

(4) コミュニケーション能力が高い

イランでは小さいころからコミュニケーション力を養う教育がされています。

小学生くらいの年齢であっても、来客などがあれば、お茶を出したりお話をしたり、もてなします。小さい頃からコミュニケーションを取っているため、共通の話題が無い相手でも気軽に話せます。

また、イランには「ターロフ」と呼ばれるコミュニケーション方法があります。

日本人が敬語を使うように、イラン人はターロフで好意や感謝を伝えます。例えば、「この本面白そうだね」と言われたら「気に入ったなら持って帰っていいよ」と返します。ただし、本気で思っているわけでは無く、礼儀的な行動である点に注意が必要です。

イラン人なら社内でもスムーズにコミュニケーションを取れるでしょう。

(5) 親日家

あまり知られていませんが、イラン人には親日家が沢山います。

先ほども触れたように1980年代の終わりごろから日本で働くイラン人が増えました。その後、日本の文化や習慣などを学び帰国したため、日本への関心や興味が広まったと考えられます。

また、ジブリ作品をはじめとするアニメが人気であったり、連続テレビ小説「おしん」が放送されていたり、日本のカルチャーも普及しています。

日本に良いイメージを持つ外国人を採用できるのは、大きなメリットです。

3. イラン人雇用の注意点

イラン人雇用にはいくつか注意点もあります。

  • 組織で動くことが苦手
  • 文化の違いがある
  • 良くないイメージを持たれている

(1) 組織で動くことが苦手

イラン人は組織で働くことが苦手です。

他人どうこうではなく、自分自身と向き合うため、他人や会社のために残業をしたり、仕事を手伝ったりする文化がありません。

集団行動やチームプレイが多い日本では、衝突が起こる可能性があります。

お互いの文化を理解し、良い所と悪い所を補い合えるような関係を構築することが重要です。

(2) 文化の違いがある

イランには日本とは異なる文化がいくつか存在します。

  • 豚肉は食べない
  • 飲酒はしない
  • 男性は髭を生やす
  • 女性は肌をみせない
  • 一夫多妻制

例えば、社食に豚肉が入っていたり、アルコールを飲ませてしまったりすると、トラブルに繋がる可能性があります

事前にお互いの文化を知っておくことが重要です。

(3) 良くないイメージを持たれている

イラン人に対して良くないイメージを持つ日本人が一定数います。

不法滞在のイメージや中東は治安が悪いというイメージが原因です。

コミュニケーションを取る機会を設けたり、お互いの文化を知る機会を設けたりして、相互理解に努めましょう。

4. イラン人雇用の流れ

イラン人雇用の流れを現地にいるイラン人を雇用する流れと日本にいるイラン人を雇用する流れに分けて解説します。

(1) 現地にいるイラン人を雇用する流れ

現地にいるイラン人を雇用する流れは以下の通りです。

  1. 募集
  2. 書類選考・面接
  3. 内定
  4. 雇用契約
  5. 在留資格認定証明書の申請・交付
  6. ビザの申請・発給
  7. 入国
  8. 就労開始

(2) 日本にいるイラン人を雇用する流れ

日本にいるイラン人を雇用する流れは以下の通りです。

  1. 募集
  2. 書類選考・面接
  3. 内定
  4. 雇用契約
  5. 在留資格変更許可申請
  6. 就労開始
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