現在、国内の人手不足解消やグローバル化の対応策として注目されている外国人採用ですが、外国人の多くがアジア出身です。その中でも今回はシンガポール人雇用について詳しく解説します。シンガポールとブロックチェーンの関係にも触れているので、最後までチェックしてみてください。
1. シンガポールについて
シンガポールの基本情報として平均賃金と主要産業を紹介します。
(1) シンガポールの平均賃金
シンガポールの平均賃金は約40〜50万です。
日本の平均月収(2023年)は約31万8,300円※なので、シンガポールの方が平均賃金は高いと言えます。
※参考:厚生労働省
ただし、シンガポールは日本よりも物価が高いため、単純な比較は難しい点に注意が必要です。日本でシンガポール人を雇用する場合は、物価などを諸々考慮して、日本人と同じかそれ以上の条件を用意する必要があります。
(2) シンガポールの主要産業
シンガポールの主要産業は以下の通りです。
- 製造業
- ビジネスサービス
- 運輸・通信業
- 金融サービス業
※参考:外務省
また、シンガポールは観光業も有名です。
マーライオンやマリーナベイ・サンズなど観光名所が数多くあります。
さらに、多様な民族や文化が共存しており、チャイナタウンやアラブストリートなど、異なる文化に触れられる点も魅力です。
2. シンガポールとブロックチェーン
シンガポールはブロックチェーンなどweb3に優れています。
その理由は以下の通りです。
- 税制と法律
- 政府が積極的
- 資金調達環境に優れている
シンガポールの法人税は17%と日本の23.2%と比べて安いのが特徴です。
日本では最大55%のキャピタルゲイン課税が、シンガポールでは0%です。キャピタルゲイン課税とは株式や仮想通貨など資産の売却によって発生する利益です。シンガポールはweb3事業を行う上で、税制の優遇があります。
また、シンガポールは政府が積極的にweb3を支援しています。
代表的な政策には「シンガポール・ブロックチェーン・イノベーションプログラム」があります。シンガポール・ブロックチェーン・イノベーションプログラムではシンガポール政府がブロックチェーンに対して約10億円の出資を行いました。web3のスタートアップ企業に対する支援が不十分な日本に比べて、web3事業を行いやすいのです。
さらに、シンガポールは資金調達環境としても優れています。
シンガポールには東南アジアと中東・北アフリカへの投資のハブ(中心)として多くのVC※が拠点を置いています。
※VC(ベンチャーキャピタル):投資会社や投資ファンド
web3人材が欲しい企業はシンガポール人雇用に焦点を当ててみるのも良いでしょう。
(1) シンガポール人雇用のメリット
シンガポール人雇用のメリットは以下の通りです。
- グローバルで高度な人材を採用できる
- 競争心が強い
- 綺麗好き
(2) グローバルで高度な人材を採用できる
シンガポールはアジアを中心に世界から企業が進出しておりビジネスが盛んです。世界トップクラスに高度人材が多いと言われています。シンガポールでは国家予算の約20%を教育に投じるなど、教育熱心な文化があることが大きな理由です。具体的な政策にはバイリンガル教育政策があります。シンガポール人は英語を中心に、中国語、マレーシア語、タミル語なども話せる人材が多いです。
グローバルで高度なシンガポール人材を採用できれば、外国人顧客に対応できたり、海外進出への足掛かりができたり、多くのメリットが期待できます。
(3) 競争心が強い
シンガポール人は競争心が強いことで有名です。
シンガポール人の性格は「負けたくない」「損したくない」を意味する「キアス」と呼ばれます。シンガポールの強い学歴社会が影響していると考えられます。
競争心の強いシンガポール人を採用できれば、活躍してくれるだけでなく、社内のモチベーションアップにもつながるでしょう。
(4) 綺麗好き
シンガポールは美観や治安を守るための法律が厳しく、綺麗好きな人が多いです。ポイ捨てや唾を吐くだけでも罰金が科されます。綺麗好きと言われる日本人ですが、シンガポール人は同等かそれ以上と言われています。
日本人と同じ感覚を持つシンガポール人を採用できれば、お互い気持ちよく仕事を進めていけるでしょう。
3. シンガポール人雇用の注意点
シンガポール人雇用には以下のような注意点があります。
- 多民族国家への理解が必要
- 謝罪する文化が無い
- 柔軟性に欠けるブブがある
- すぐに転職してしまう可能性がある
シンガポール人雇用で失敗しないためにも、目を通してきましょう。
(1) 多民族国家への理解が必要
シンガポールは多民族国家です。
シンガポール人は中国系やマレー系など多くの民族で構成されており、さらには仏教徒やキリスト教徒など宗教も様々です。シンガポール人を一括りにして扱うのではなく、個人の宗教や文化に基づく配慮が求められます。事前にヒアリングを行い、重要な事項は社内で共有しておきましょう。
(2) 謝罪する文化が無い
シンガポール人は謝罪をする文化がありません。
日本人は自分に非が無い場合でも、まずは謝罪するという文化があるため、不快に思う日本人社員もいるかもしれません。しかし、指摘や注意は受け入れ、間違いを正す姿勢はあります。形式的な謝罪という文化が無いだけで、やる気が無いわけではありません。
相手の文化を尊重しつつ、日本の文化にも慣れてもらうことが重要です。
(3) 柔軟性に欠ける部分がある
シンガポール人は柔軟性に欠ける部分があります。
例えば、与えられた仕事はしっかりとこなすが、それ以外のことは一切しないなどが挙げられます。ワークライフバランスを重視し、基本的に残業なども行いません。
もし、追加での仕事が発生する場合や残業が必要な場合は、しっかりと説明しましょう。
(4) すぐに転職してしまう可能性がある
日本のように終身雇用という考え方はなく、きちんと評価されていなかったり、少しでも待遇や給料の良い会社があれば、すぐに転職してしまいます。せっかく獲得したシンガポール人材を手放さないためにも、給与面や待遇面を整備したり、評価基準を明確にするなどして対策しましょう。
4. シンガポール人雇用の流れ
シンガポール人雇用の流れを現地にいるシンガポール人雇用の流れと日本にいるシンガポール人雇用の流れに分けて解説します。
(1) 現地にいるシンガポール人雇用の流れ
現地にいるシンガポール人を雇用する流れは以下の通りです。
- 募集
- 書類選考・面接
- 内定
- 雇用契約
- 在留資格認定証明書の申請・交付
- ビザの申請・発給
- 入国
- 就労開始
(2) 日本にいるシンガポール人雇用の流れ
日本にいるシンガポール人を雇用する流れは以下の通りです。
- 募集
- 書類選考・面接
- 内定
- 雇用契約
- 在留資格変更許可申請
- 就労開始