人手不足解消や海外進出を考える上で欠かせない外国人採用ですが、その中でもスリランカ人雇用が注目されているのをご存じですか?スリランカと日本には共通点が多く、またスリランカ人は高い能力を持っています。
本記事ではスリランカ人雇用について、メリットや注意点、具体的な雇用の流れを解説します。スリランカという国についてもわかるので、採用担当者の方はぜひ参考にしてください。
1. スリランカについて
スリランカという国について、以下の観点から解説します。
- スリランカの平均賃金
- スリランカの主要産業
- スリランカと日本の関係
- 日本で働くスリランカ人が増えている
スリランカ人雇用に成功するためにも、大切な内容です。
(1) スリランカの平均賃金
スリランカの平均月収(2022年)は2~5万円と推測されています。
日本の平均月収(2023年)は約31万8,300円※なので、大きな給与格差があります。
※参考:厚生労働省
また、経済状況も不安定です。
(2) スリランカの主要産業
スリランカの主要産業は農業(紅茶、ゴム、ココナツ、米作)や繊維業です。
※参考:外務省
しかし、気候変動による災害が増え、農業を中心に生計を立てている地域の貧困化が問題視されています。また、スリランカ人は英語を話せるIT人材が多いことから、欧米企業のアウトソーシング先としても評価されています。
(3) スリランカと日本の関係
スリランカと日本の関係は良好と言えます。
第二次世界大戦後、スリランカは世界で最初に日本と国交を結び、その後日本はスリランカのインフラ開発を援助してきました。
また、スリランカでは日本車が多く走っていたり、同じ仏教徒であったり、日本に対するイメージも良いと言えるでしょう。
(4) 日本で働くスリランカ人が増えている
現在、日本で働くスリランカ人は56,179人(2024年6月)です。
スリランカは、自然災害による農業などの一次産業への打撃やコロナ禍による観光産業の停滞により、経済危機の渦中です。物価が上がり通貨の価値が下がっているため、価値のある外貨を稼ぐために日本をはじめとする海外で出稼ぎを行っています。
また、先ほども触れたように、スリランカの給与は日本と比べて低い水準です。
スリランカ人は日本で就労することで安定した収入を得られます。自国に住む家族を養うため日本に出稼ぎにくる人も多いようです。
2. スリランカ人雇用のメリット
スリランカ人雇用には以下のようなメリットがあります。
- 上下関係を大切にする
- コミュニケーションが得意
- 教育レベルが高い
- 労働不足を解決できる
(1) 上下関係を大切にする
スリランカ人の多くは仏教を信仰しており、上下関係や礼儀を重んじます。
スリランカでは年功序列で権力が決まる傾向があるので、仕事では上司の言うことは絶対という考えがあります。年功序列や上下関係がある日本と考え方が似ているため、相性が良いと言えるでしょう。
(2) コミュニケーションが得意
スリランカ人はフレンドリーな人が多く、コミュニケーション能力に長けています。
スリランカでは朝の挨拶が重要とされており、目があえば知らない人とも挨拶を交わします。積極的に喋ってくれるので、コミュニケーションエラーも起きにくいでしょう。内向的な日本人には無い良さです。
ただし、すぐにおしゃべりをしてしまうという一面があり、仕事に影響を及ぼす可能性があるため注意が必要です。
(3) 教育レベルが高い
スリランカでは小学校から大学までの授業料が無料なので、ほとんどの人が義務教育を受けています。また、大学進学がとても難しく、大学合格に向けて勉強する人が多いため、賢い人が多いようです。さらに、スリランカ人は勤勉で、また、公用語のシンハラ語は日本語に発音が似ているため、スピーディーに日本語を習得してくれます。
(4) 労働不足を解決できる
スリランカ人を雇用することで、労働不足を解決できます。
特に農業、漁業、建設業など慢性的な人手不足が続く業界で活躍が期待できます。
特定技能や技能実習生として働くケースが多いようです。
3. スリランカ人雇用の注意点
スリランカ人雇用にはいくつか注意点があります。
- 時間にルーズ
- 食事や文化が異なる
- 仲間といることを好む
スリランカ人雇用で失敗しないためにも、目を通しておきましょう。
(1) 時間にルーズ
スリランカ人は時間にルーズな傾向があります。
遅れてきても反省する様子はなく、また、相手が遅れてきても怒ることはありません。
穏やかな国民性がスリランカ人の良さではありますが、仕事では支障をきたす可能性があります。日本での働き方やマナーを学ぶ機会を設け、日本で働くことに慣れてもらいましょう。
(2) 食事や文化が異なる
スリランカ人はシンハラ人やタミル人など様々な民族で構成されており、中には飲酒をしない人やベジタリアンの人もいます。また、仕事の日であっても家族の用事や祝祭日を最優先します。トイレや浴槽の使い方も大きく異なるため、指導が必要です。事前にヒアリングを行うことで、特殊な事情に対応しましょう。
(3) 仲間といることを好む
スリランカ人は一人でいることを嫌い、常に仲間と行動します。
社宅や寮などを用意する場合は、ルームシェアなども視野に入れるのが良いでしょう。
また、大人数で集まることがあるため、騒音などのトラブルが起きないように注意が必要です。
4. スリランカ人雇用の流れ
スリランカ人雇用の流れを現地にいるスリランカ人雇用の流れと日本にいるスリランカ人雇用の流れに分けて紹介します。
(1) 現地にいるスリランカ人雇用の流れ
現地にいるスリランカ人雇用の流れは以下の通りです。
- 募集
- 書類選考・面接
- 内定
- 雇用契約
- 在留資格認定証明書の申請・交付
- ビザの申請・発給
- 海外労働登録(スリランカ側)
- 入国
- 就労開始
(2) 日本にいるスリランカ人雇用の流れ
日本にいるスリランカ人雇用の流れは以下の通りです。
- 募集
- 書類選考・面接
- 内定
- 雇用契約
- 在留資格変更許可申請
- 海外労働登録(スリランカ側)
- 就労開始