人手不足の解消が期待できる外国人採用ですが、今注目されているのがブラジル人雇用です。実はブラジルと日本には深い関係性があるのをご存じでしょうか。本記事ではブラジル人採用について、メリットや注意点、具体的な流れを解説します。ブラジル人雇用を考えている担当者の方は、ぜひ参考にしてください。
1. ブラジルについて
まずはブラジルの基本情報について解説します。
- ブラジルの平均賃金
- ブラジルの主要産業
- ブラジル人の性格
(1) ブラジルの平均賃金
ブラジルの平均賃金は約9万円、日本の平均賃金は約33万円です。
ブラジルの物価は日本と比べてやや安いですが、それでも3倍以上の差があります。
出稼ぎや家族帯同で定住を目指す人が多く「お金」を重視して来日しています。
(2) ブラジルの主要産業
ブラジルの主要産業は以下の通りです。
- 製造業
- 鉱業(鉄鉱石など)
- 農牧業(砂糖、オレンジ、コーヒーなど)
上記の産業のほか、エンジニアなどの技術者、音楽や映画などエンターテイメント業界を希望するブラジル人もいます。
(3) ブラジル人の性格
ブラジル人は陽気な人が多いです。
ブラジル人は普段から様々な民族が混ざっている環境で暮らしているため、初対面の人ともフレンドリーに接することができます。採用できれば、職場が明るくなるでしょう。
また、ブラジル人は基本的にマイペースです。
日本で働く場合は、良い影響も悪い影響もあるため、注意が必要です。
さらに、ブラジル人は家族・友達を優先します。
休日は家族や仲間と集まってパーティーなどを行います。仕事よりもプライベートを重視するケースもあるので、柔軟な対応が必要です。
2. 日本にブラジル人が多い理由
現在、日本にいるブラジル人が多く滞在しています。
法務省によると令和5末における在日ブラジル人は211,840人(前年より+2,410人)で、国別で第5位です。
日本にブラジル人が多い理由は、日系三世に該当するブラジル人が「告示定住者」として在留しているからです。1990年に改正された入管法により、日本から海外に移住した日本人の孫にあたる日系三世が定住者として在留できるようになりました。
しかし、現在日系三世にあたる世代は中高年になっており、また、日系三世に続く日系四世は定住者になれません。そのため、企業がブラジル人を採用する場合、技術・人文知識・国際業務や特定技能をはじめとする他の在留資格を活用する必要があります。
3. ブラジル人雇用のメリット
ブラジル人雇用のメリットを紹介します。
- 長期的な労働が見込める
- 日本に馴染みやすい
- 職場の雰囲気が良くなる
(1) 長期的な労働が見込める
これまでは出稼ぎとして日本で働くブラジル人が大半を占めていましたが、ブラジル国内の業績低下や政治的不安などから、最近では定住を視野にいれて日本で働くブラジル人が増えています。特に大卒者や技術者など、レベルの高い人材が定住を求めています。定住者や永住者の在留資格を持つブラジル人を採用できれば、企業にとって長期的な戦力となるでしょう。
(2) 日本に馴染みやすい
明治40年の日本からブラジルへ最初の移民船「笠戸丸」を皮切りに、日本人はより良い生活を求め、また、農業の人手不足を補うためにブラジルに移住した歴史があります。その名残を受け、ブラジルは世界最大の日系人居住地として有名です。
ブラジルのサンパウロリベルダージには日本人街があり、また日本の群馬県大泉町にはブラジル人街があるなど、ブラジルと日本には深い関係があります。そのため、ブラジル人は日本に良い印象を持っており、馴染みやすいのです。
(3) 職場の雰囲気が良くなる
ブラジル人は陽気でコミュニケーションを得意とする人が多いため、職場の雰囲気が良くなります。ネガティブで静かな性格が多い日本人には無い良さを加えられるでしょう。
4. ブラジル人雇用の注意点
ブラジル人雇用の注意点を紹介します。
- 言語の壁がある
- マイペースな人が多い
- 日本での試験が必要なケースがある
- 他国に比べて渡航費が高い
- キャリアを重視する
(1) 言語の壁がある
日本で働くブラジル人には日系人が多く、日本語を喋れると期待する担当者もいるかもしれません。しかし、たとえ日系人であっても、普段はポルトガル語を話しているため、日本語が上手ではありません。日本語能力検定のレベルや面接などで日本語力を確認しておくことが必要です。
また、入社後は日本語を学べる環境を整備してあげて、日本語力向上のサポートをしてあげましょう。日本語とポルトガル語の両方を喋れる講師や先輩社員がいるとよりスムーズです。
(2) マイペースな人が多い
ブラジル人はマイペースな人が多く、就業時間に遅れてきたり、提出期限などを守れなかったりするケースがあります。すぐに怒ったりするのではなく、日本における時間のマナーを教えてあげるなどして、少しずつ日本で働くことに慣れてもらいましょう。
(3) 日本での試験が必要なケースがある
例えば、特定技能で在留資格申請を行う場合、日本語能力試験での合格や各分野の試験に合格する必要があります。日本語能力試験は現地でも受験できますが、各分野の試験は日本で受けなくてはいけません。渡航費用の負担はどうするのか、受験のために短期滞在する場合の手続きはどうするのかなどを考えておく必要があります。
(4) 他国に比べて渡航費が高い
ブラジルは日本の反対側に位置しており、アジア各国の外国人を採用する場合に比べて、渡航費が高くなります。渡航費はブラジル人本人が負担するケースと企業が一部負担するケースがあります。本人と相談しながら、渡航費をどうするのか決めておきましょう。
(5) キャリアを重視する
ブラジル人はキャリアアップや給料を重視します。
スキルを磨いたり、資格を取得したりすることに前向きです。また、ブラジル人は転職に抵抗がありません。
このような理由から少しでも良い条件の企業があればすぐに転職してしまいます。
長期的に働いてもらうためにも、労働環境を整えましょう。
5. ブラジル人雇用の流れ
ブラジル人雇用の流れを3パターン解説します。
(1) 現地のブラジル人を雇用する流れ
現地のブラジル人を雇用する流れは以下の通りです。
- 募集
- 書類選考・面接
- 内定
- 雇用契約
- 在留資格申請
- 入国
- 就業開始
(2) 日本にいるブラジル人を雇用する流れ
日本にいるブラジル人を雇用する流れは以下の通りです。
- 募集
- 書類選考・面接
- 内定
- 雇用契約
- 在留資格変更許可申請(同業種の場合は在留期間更新許可申請)
- 就業開始
(3) ブラジル人留学生を雇用する流れ
ブラジル人留学生を雇用する流れは以下の通りです。
- 募集
- 書類選考・面接
- 内定
- 雇用契約
- 在留資格変更許可申請
- 就業開始