ベトナム人の採用を解説

Portrait of an Asian male businessman working attentively

現在、日本で働くベトナム人が増えており、ベトナム人採用を考えている担当者の方も多いはずです。本記事では、ベトナム人採用について、メリットや注意点、雇用の流れを解説します。

1. ベトナムと日本について

ベトナムと日本について、以下の観点から解説します。

  • 日本にいるベトナム人の現状
  • 日本で働くベトナム人が増えている理由
  • ベトナムの平均賃金
  • ベトナムの主要産業

ベトナム人採用を考える上で頭に入れておきたい内容です。

(1) 日本にいるベトナム人の現状

現在、日本で働くベトナム人が増えています。

厚生労働省によると、令和5年10月末時点で、日本にいる外国人労働者の数は2,048,675人です。その中でも一番多いのがベトナム人で518,364人、全体の25.3%を占めています。

在留資格ごとの割合は以下の通りです。

  • 専門的・技術的分野の在留資格:30.9%
  • 特定活動:5.3%
  • 技能実習:40.4%
  • 資格外活動:19.6%(うち留学は15.9%)
  • 身分に基づく在留資格:3.9%

日本で働くベトナム人が増えている理由はベトナムの給与水準の低さや日本との関係の高さが関係しています。

(2) ベトナムの平均賃金

少し古い情報ですが、2022年のベトナム人労働者の月収は約660万ドン年収は約7,920万ドンです。

2025年1月25日現在の外国為替レートで日本円に換算すると、年収約49万2,862円です。

2022年の日本の平均年収が458万円なので、約9倍の差があります。

ベトナムは給料水準が低いため、お金を稼ぐために日本で働くベトナム人が多いのです。

(3) ベトナムの主要産業

ベトナムの主要産業は、農林水産業、鉱工業・建設業、サービス業などです。

ベトナム人は会話やコミュニケーションを取るのが好きなので、人と関わる職種が人気です。初対面の相手でも気にせずコミュニケーションを取れるのは、日本人には無い魅力と言えるでしょう。

また、ベトナムでは政府がITエンジニアの育成に取り組んでいるため、STEM(科学・技術・工学・数学)に強い人材が豊富です。

職種ではありませんが、技能実習生として働くベトナム人も沢山います。

昔は中国人の技能実習生が多かったのですが、中国の発展に伴い減少し、その結果ベトナムの技能実習生を受け入れるようになりました。

2. ベトナム人雇用のメリット

ベトナム人雇用のメリットを解説します。

(1) 若い人材を確保できる

ベトナムの平均年齢が約33歳で、日本の平均年齢は約50歳なので、ベトナムは日本と比べて若い人が多い傾向にあります。ベトナム人を採用できれば、少子高齢化が進む日本で不足する若い人材を確保できるでしょう。

(2) 手先の技術が高い

ベトナム人は伝統工芸品に必要な刺繍や縫製を経験している人や、バイク修理などを行った経験がある人が多いため、手先が器用です。

建設業、製造業などで活躍してくれるでしょう。女性であればネイリストなども人気です。

(3) 親日国であり相性が良い

ベトナムは親日国としても有名です。

ベトナムが親日国である主な理由は以下の通りです。

  • 日本企業や日本製品が身近にある
  • 歴史的繋がりがある
  • アニメや漫画の文化が浸透している

ベトナムにはイオン、UNIQLO、パナソニックなどの日系企業が進出しています。バイク社会であるベトナムでは「ヤマハ」や「ホンダ」などの名前も知られています。

また、ベトナム戦争後にODA(政府開発援助)でインフラ支援を行ったり、カントー橋やニャットタン橋など歴史的建造物を建設したり、歴史的繋がりがあるのも理由の1つです。最近はベトナムで日本のアニメや漫画が人気なこともあり、日本に良い印象を持っている人がさらに増えています。

日本と繋がりの深いベトナム人を採用すれば、関心や親しみを感じながら、技術や知識を習得してくれるでしょう。ベトナムは無宗教が一般的であるため、宗教的なトラブルも起きにくいのもポイントです。

3. ベトナム人雇用の注意点

ベトナム人を雇用する場合は注意点もあります。

(1) DOLABに認定を受けた送出機関を介する必要がある

ベトナム人を雇用する上で一番重要なのがDOLABの存在です。

日本とベトナムは二国間協定を結んでおり、現地にいるベトナム人を特定技能で採用する場合、DOLABに認定された送出機関を利用しなくてはいけません。DOLABとはベトナム人労働者の管理などを行う組織です。

日本企業とDOLABから承認を得ているベトナムの企業で労働者提供契約を結び、次に採用するベトナム人本人と雇用契約を結びます。詳しい流れは後ほど解説します。

(2) 推薦者表交付申請が必要

日本にいるベトナム人を特定技能で採用する場合、もし採用するベトナム人が技能実習生や留学生であれば、推薦者表交付申請が必要です。推薦者表とは、ベトナム人申請者がベトナム側の関連法令に従い必要な手続きを経た者であることを証明する書類です。推薦者表交付申請は駐日ベトナム大使館で行いますが、やり取りや問い合わせはベトナム語で行われるため、本人や申請取次者(行政書士等)に頼むのが良いでしょう。

(3) 性格や言語が異なる

ベトナム人は一人ではなく大人数で行動することを好みます。

ストレスや寂しさを感じさせないためにも、最初のうちはペアで仕事をさせたり、みんなで集まれる場所や環境を提供したり、工夫しましょう。

また、親日家の多いベトナムですが、全く日本語を喋れない人もいます。

日本語を学べる学習会を設けたり、日本語を喋れるベトナム人の先輩を教育係としてつけたりして、日本語の上達を目指しましょう。

(4) 待遇を重視する

ベトナム人の多くは稼ぎを重視して日本に来ています。

他に給料や福利厚生が良い会社を見つければ、すぐに転職してしまいます。

労働環境を整えて、ベトナムの人材が離れていかないようにしましょう。

4. ベトナム人雇用の流れ

ベトナム人を特定技能で雇用する流れを2パターン紹介します。

(1) 現地のベトナム人を雇用する流れ

現地のベトナム人を雇用する流れは以下の通りです。

  1. 企業と送出機関で労働者提供契約を結ぶ
  2. ベトナム人本人と雇用契約を結ぶ
  3. 推薦者表の発行申請を行う
  4. 在留資格認定証明書の申請を行う
  5. ビザの申請を行う
  6. 入国
  7. 就労開始

(2) 日本にいるベトナム人を雇用する流れ

日本にいるベトナム人を雇用する流れは以下の通りです。

  1. ベトナム人本人と雇用契約を結ぶ
  2. 推薦者表の発行申請を行う
  3. 在留資格認定証明書の申請を行う
  4. 就労開始
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