特定活動とは

在留資格
在留資格

特定活動は他の在留資格に当てはまらない外国人が日本に滞在するための在留資格です。

また、外国人の特殊な事情を考慮して使用されるケースもあります。本記事では特定活動について、概要、外国人採用で重要な特定活動、特定活動を持つ外国人を採用する際の注意点などを解説します。特定活動での外国人採用を考えている担当者の方は、ぜひ参考にしてください。

1. 特定活動とは

特定活動とは、法務大臣が個々の外国人について指定する活動で、他のどの在留資格にも当てはまらない活動を行うための在留資格です。政府が「出入国管理及び難民認定法」を改正する必要が無く、柔軟性に富んでいるのが特徴です。例えば、新型コロナウイルスで帰国が困難になった外国人や東京オリンピックで来日する外国人など、一時的な状況に対応する際にも使われます。

他には以下のような活動が該当します。

  • 外交官等の家事使用人
  • ワーキング・ホリデー
  • 経済連携協定に基づく外国人看護師・介護福祉士候補者

在留期間は5年、3年、1年、6ヵ月、3ヶ月、もしくは5年を超えない範囲で法務大臣が指定する期間です。

2. 特定活動の種類

特定活動は主に3種類に分かれる

  • 法廷特定活動
  • 告示特定活動
  • 告示外特定活動

① 法廷特定活動

法廷活動とは「出入国管理及び難民認定法に規定されている特定活動」です。

主に専門的な研究などを行う外国人やその家族に対する在留資格なので、あまり馴染が無いかもしれません。

法廷特定活動は以下の3つに分かれる

  • 特定研究活動
  • 特定情報処理活動
  • 特定研究等家族滞在活動及び特定情報処理家族滞在活動

特定研究活動とは高度で専門的な知識を必要とする研究や教育などの活動です。

特定情報処理活動とは自然科学または人文科学の知識や技術を必要とする、情報処理業務に従事する活動です。

特定研究等家族滞在活動及び特定情報処理家族滞在活動とは、上記2つの活動を行う外国人の扶養を受ける配偶者または子が国内で行う活動です。

② 告示特定活動

告示特定活動とは法務大臣が告示(ある事項を一般的に知らせること)している活動です。

現在、告示されている活動は以下の通りです。

  • 家事使用人(告示1号・告示2号・告示2号の2)
  • 台湾日本関係協会職員及びその家族(告示3号)
  • 駐日パレスチナ総代表部職員及びその家族(告示4号)
  • ワーキングホリデー(告示5号・告示5号の2)
  • アマチュアスポーツ選手とその家族(告示6号・告示7号)
  • 国際仲裁代理(告示8号)
  • インターンシップ(告示9号)
  • 英国人ボランティア(告示10号)
  • サマージョブ(告示12号)
  • 国際文化交流(告示15号)
  • インドネシア、フィリピン、ベトナム二国間の経済連携協定(EPA)看護師・介護福祉士関係(告示16号~24号、27号~31号)
  • 医療滞在とその同伴者(告示25号・告示26号)
  • 外国人建設就労者(告示32号)
  • 高度専門職外国人の就労する配偶者(告示33号)
  • 高度専門職外国人又はその配偶者の親(告示34号)
  • 外国人造船就労者(告示35号)
  • 特定研究等活動(告示36号)
  • 特定情報処理活動(告示37号)
  • 特定研究等活動家族滞在活動(告示38号)
  • 特定研究等活動等の対象となる外国人研究者等の親(告示39号)
  • 観光、保養を目的とする長期滞在者とその同伴者(告示40号・告示41号)
  • 製造業外国従業員受入事業における特定外国従業員(告示42号)
  • 日系4世(告示43号)
  • 外国人起業家とその配偶者(告示44号・45号)
  • 本邦大学卒業者とその配偶者等(告示46号・告示47号)
  • オリンピック関係者とその配偶者(告示48号・告示49号)
  • スキーインストラクター(告示50号)

※告示11号、13号、14号は消去済

※参考:法務省

※2023年1月時点

告示特定活動は社会の変化によって変更されたり消去されたりするケースがあるので、最新の情報は公的な機関をご確認ください。

③ 告示外特定活動

告示外特定活動とは上記で紹介した2つのどちらにも当てはまらない活動です。法務大臣が外国人の諸事情を考慮して日本への上陸・在留を認めます。

例えば、以下のようなケースが該当します。

  • 内定がもらえず就職活動を続ける場合に在留資格を留学から特定活動に変更するケース
  • 新型コロナウィルスの影響で特例的な活動を行うケース
  • 長期的に日本にいる外国人が高齢となった親を日本に呼ぶケース

3. 外国人を採用する上で重要な特定活動

外国人を採用する上で重要な特定活動を紹介します。

  • 就職活動継続のための特定活動(告示外特定活動)
  • ワーキングホリデー
  • インターンシップ
  • サマージョブ
  • 特定活動46号
  • 外国人製造業従事者

① 就職活動継続のための特定活動(告示外特定活動)

日本にいる留学生が卒業までに就職が決まらなかった場合や卒業後も就職活動を続ける場合の特定活動です。対象となる留学生は大学院生、大学生、短大生、専門学生です。

在留資格を留学から特定活動に変更することで、6ヵ月間在留できます。更に1回在留期間を更新できるので、最長1年間日本で就職活動を行えます。

また、資格外活動許可を取得すれば週28時間までのアルバイトも可能です。

ワーキングホリデー

ワーキングホリデーは協定を結んだ相手国の青少年に対して、休暇目的での入国や滞在期間中の資金調達の就労を認める制度です。在留期間は基本的に1年、協定国によっては最大3年間で、各国1回のみ使用できます。

ワーキングホリデーでは基本的に在留期間更新許可申請が認められていません。ワーキングホリデーで外国人を採用する場合は、一度帰国して母国の日本大使館などでワーキングホリデービザを発行してもらう必要があります。

③ インターンシップ

インターンシップとは学生が在学中に企業で就業体験を行う制度で、外国人も利用できます。報酬が発生するインターンシップは特定活動に該当し、海外の大学生を学業の一環として日本に呼べます。在留期間は1年を超えずかつ大学の修業年限の半分を超えない期間です。

※修業年限とは卒業するために必要な教育・学習期間

④ サマージョブ

サマージョブとは外国の学生が夏季休暇等を利用して日本の企業で就労するための制度です。サマーとありますが、長期休暇であれば夏季休暇でなくても利用できます。

報酬を受け取る場合は特定活動に該当しますが、報酬を受け取らない場合は文化活動や短期滞在の在留資格となるので、注意が必要です。

在留期間は3ヵ月を超えられません。

⑤ 特定活動46号

特定活動46号は4年制大学または大学院を卒業した留学生が日本で働く際に必要な在留資格です。製造業や飲食店など、外国人の学歴と業務内容に関係性が無くても良い点が特徴です。在留期間は3ヵ月、6ヵ月、1年、3年、5年から許可されます。初めて在留期間を更新する場合は、1年です。

⑥ 外国人製造業従事者

製造業において外国人従業員を日本の拠点に呼び寄せ、一定の在留期間で技能を身につけてもらうことができる在留資格です。人材育成や技能継承が目的です。

在留期間は最長1年です。

4. 特定活動を持つ外国人を採用する際の注意点

特定活動は就労できないケースもあります。就労できるかどうかは在留カードと指定書で確認できます。

在留カードは在留者に発行される身分証です。指定書は就労に関する規定が明記された書類で、パスポートに貼付されています。

まずは在留カードを確認します。

特定活動を許可されている在留カードには「在留資格:特定活動」「就労制限の有無:指定書に指定された就労活動のみ」と記載があります。しかし、在留カードだけでは就労可能な活動の詳細がわかりません。そこで、指定書も併せて確認します。例えば、「特定活動:ワーキングホリデー」「内容:旅行資金を確保するための報酬がともなう活動」とあれば、就労可能ですが、「報酬を受ける活動を除く」などと記載がある場合は就労できません。

在留資格で許可されていない活動をさせてしまった場合、罪に問われる場合もあるので、採用側は就労できるかどうかを確認しましょう。

5. 特定活動を取得するおおまかな流れ

特定活動を取得するおおまかな流れは以下の通りです。

  1. 入国前に「在留資格認定証明書」を申請する
  2. 在留資格認定証明書をもって在外公館でビザ申請を行う
  3. 入国
  4. 在留カードと指定書を受け取る
  5. 就労開始

留学から特定活動へ変更する場合は流れが多少異なるので、注意が必要です。

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