高度専門職とは

外国人採用や外国人受入を考える上で大切なのが在留資格です。

その中でも今回は「高度専門職」について概要、優遇措置、取得の流れを解説します。

高度専門職とは

高度専門職とは、日本の発展への貢献が見込まれる専門的な能力を持つ外国人を受け入れるための在留資格です。その他の就労資格に比べて、活動制限が緩和されているのが特徴です。高度専門職を持つ外国人を高度外国人材と呼びます。

また、高度専門職には1号と2号があります。それぞれ詳しく見ていきましょう。

高度専門職1号

高度専門職1号は、日本の学術研究又は経済の発展に寄与することが見込まれる人材に付与される在留資格で、5年間在留できます。

高度専門職1号には以下の活動種類があります。

  1. イ:高度学術研究活動
  2. ロ:高度専門・技術活動
  3. ハ:高度経営・管理活動

イの高度学術研究活動は、研究の指導又は教育をする活動で、研究者や大学教授などが該当します。

ロの高度専門・技術活動は自然科学又は人文科学分野に属する知識や技術を要する業務です。自然科学分野や人文科学分野の研究者、ITエンジニアなどが該当します。

ハの高度経営・管理活動は、事業の経営や管理に従事する活動で、経営者、社長、役員などが該当します。

また、高度専門職の取得を語る上で欠かせないのが、高度人材ポイント制です。

学歴、職歴、年収などをレベルごとにポイント換算し、その合計が70点以上に達した場合、高度専門職1号が付与されます。

例えば、以下のケースだと合計が80点になるため、高度専門職1号の条件を満たします。

  • 博士号を取得(30点)
  • 大学教授として5年勤務(10点)
  • 32歳(10点)
  • 年収800万円(30点)

詳しい項目やポイントはこちらをご参照ください。

高度専門職ポイント計算表

高度専門職2号

高度専門職2号とは、高度専門職1号の在留資格を持って3年以上在留した外国人に付与される在留資格で、在留期限に制限がありません。

高度専門職1号よりもさらに活動範囲が広がり、その他の就労ビザで認められるほとんどの活動が可能です。具体的には、高度専門職1号で紹介したイロハの活動と併せて、芸能、芸術、宗教などを行うことができます。

高度専門職1号で受けられる優遇措置

高度専門職で受けられる優遇措置は以下の通りです。

  • 複合的な在留活動の許容
  • 在留期間の付与
  • 在留歴に係る永住許可要件の緩和
  • 配偶者の就労
  • 一定の条件の下での親の帯同許容
  • 一定の条件の下での家事使用人の帯同の許容
  • 入国・在留手続きの優先処理

どのようなメリットがあるのか、それぞれ詳しく解説します。

参考:ISA

複合的な在留活動の許容

高度外国人材は、複数の在留資格にまたがって活動できます。

通常、外国人は許可された1つの在留資格に当てはまる活動しか行えません。

例えば「医療」の在留資格であれば、医師や看護師の活動に限定されます。

しかし、高度外国人材は、大学で研究を行いながら経営者として活動することも可能です。

在留期間の付与

高度外国人材には、最長の5年の在留期間が一律で付与されます。

通常、就労資格による在留期間は審査によって決定され、最長でも3年です。

高度専門職は、他の就労資格よりも長く在留できるのが特徴です。

また、状況に応じて在留期間を更新できます。

在留歴に係る永住許可要件の緩和

高度外国人材は、永住許可の要件が緩和されます。

通常、永住許可を取得するには、10年以上日本に在留する必要があります。

しかし、高度専門職を持つ外国人には特例が認められます。

特例が認められる要件は以下の通りです。

  • 高度外国人材として3年以上活動している
  • 高度人材ポイント制で80点以上を取得し、高度外国人材として1年以上継続している

参考:ISA「永住許可に関するガイドライン」

配偶者の就労

高度外国人材は、配偶者の就労が認められます。

通常、配偶者として在留資格を持つ外国人が「教育」や「技術・人文知識・国際業務」に該当する活動を行う場合、新たに在留資格の取得が必要です。資格外活動許可を取得したとしても、フルタイムでの就労はできません。

しかし、高度外国人材の配偶者は、学歴や職歴などの要件を満たしていなくても、フルタイムで就労可能です。

一定の条件の下での親の帯同許容

現状、就労を目的とする在留資格で在留する外国人は、親の帯同が不可です。

しかし、高度外国人材は、以下の場合に限り、親の入国・在留が可能です。

  • 高度外国人材又はその配偶者の7歳未満の子(養子を含む)を養育する場合
  • 高度外国人材の妊娠中の配偶者又は妊娠中の高度外国人材本人の介助等を行う場合

親の帯同が許容される要件は以下の通りです。

  • 高度外国人材の世帯年収が800万円以上であること
  • 高度外国人材と同居すること
  • 高度外国人材又はその配偶者のどちらかの親に限ること

一定の条件の下での家事使用人の帯同の許容

通常、家事使用人の帯同は「経営・管理」「法律・会計業務」などの在留資格を持つ外国人に対して認められます。しかし、高度外国人材は、一定の条件の下で家事使用人の帯同が許容されています。家事使用人とは夫などを経由して、家庭と直接労働契約を結び、家庭との雇用関係の下において家事業務を行う人を指します。

参考:厚生労働省

高度外国人材が家事使用人を帯同できるケースは主に3つです。

  1. 外国で雇用していた家事使用人を引き続き雇用する場合
  2. 1以外の家事使用人を雇用する場合
  3. 投資運用業等に従事する金融人材が家事使用人を雇用する場合

それぞれの詳しい要件はこちらをご参照ください。

ISA 高度人材ポイント制による出入国在留管理上の優遇制度「どのような優遇措置が受けられる?」

入国・在留手続きの優先処理

高度外国人材は、入国・在留手続きに関係する処理が優先されます。

具体的な優遇内容は以下の通りです。

  • 入国事前審査に係る申請については申請受理から10日以内
  • 在留審査に係る申請については申請受理から5日以内

ただし、提出資料等がある場合は上記の限りではないため、注意が必要です。

高度専門職2号で受けられる優遇措置

高度専門職2号では、高度専門1号で認められる活動を含むほぼすべての就労活動を行えます。また、在留期間は無制限です。

高度専門職(1号)を取得する流れ

高度専門職(1号)を取得する流れを解説します。

  1. 在留資格認定証明書の交付申請
  2. 審査
  3. 在留資格認定証明書の交付

高度専門職の取得は、外国人を受け入れる機関や企業の担当者が申請できます。

1.在留資格認定証明書交付申請

まずは、近くの地方出入国在留管理局で在留資格認定証明書交付申請を行います。

在留資格認定証明書交付申請にはポイント計算表とポイントを立証する資料が必要です。

ポイントを立証する資料は項目に応じて異なり、例えば以下のような資料があります。

  • 卒業証明書
  • 源泉徴収票
  • 雇用契約書

また、既に日本に在留している外国人が手続きを行う場合は、在留資格変更許可申請・在留期間更新許可申請が必要です。

2.審査

出入国在留管理庁による審査が行われます。

この際にポイント計算も行われます。

3.在留資格認定証明書の交付

審査に合格した場合は在留資格認定証明書が交付、審査に不合格だった場合はその理由が通知されます。在留資格認定証明書が交付されたら、ビザの申請、在留カードの交付という流れです。

まとめ

高度外国人材は技術や知識に長けている人材です。

在留期間や在留活動において様々な優遇を受けられるため、人手不足の解消に繋がります。さらに、ビジネス拡大や発想の創造にも繋がるでしょう。

高度専門職について知識を深め、高度外国人材をスムーズに受け入れられる体制を整えましょう。

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