外国人の在留資格とは

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外国人の採用を考える上で大切なのが在留資格です。

「どんな資格なの?」「資格ごとの違いが知りたい」とお悩みではありませんか?

今回は外国人の在留資格について、基礎知識や事例を紹介します。

外国人採用や外国人受入を考えている方は、ぜひ参考にしてください。

外国人の在留資格とは

在留資格とは、外国人が日本に滞在するための法的な資格です。

在留資格には様々な種類があり、大きく以下の3つに分かれます。

  • 居住資格
  • 活動資格
  • 非就労資格

それぞれ詳しく解説します。

居住資格

居住資格とは、身分や地位に応じた在留資格です。

原則、日本における活動制限が無く、日本人と同じように就労できます。

居住資格の例は以下の通りです。

  • 永住者
  • 日本人の配偶者等
  • 永住者の配偶者等
  • 定住者

参考:法務省

活動資格

活動資格とは、日本で行う活動内容に応じた在留資格です。

資格によって活動や在留期間に制限があります。

原則として就労が認められている活動資格は以下の通りです。

  • 外交
  • 公用
  • 教授
  • 芸術
  • 宗教
  • 報道
  • 高度専門職
  • 経営・管理
  • 法律・会計業務
  • 医療
  • 研究
  • 教育
  • 技術・人文知識・国際業務
  • 企業内転勤
  • 興行
  • 技能
  • 特定技能
  • 技能実習

参考:法務省

非就労資格

非就労資格とは、原則として就労ができない在留資格です。

非就労資格は以下の通りです。

  • 文化活動
  • 短期滞在
  • 留学
  • 研修
  • 家族滞在

ただし、資格外活動許可が下りていれば、就労できるケースもあります。

参考:法務省

その他

その他の在留資格として、特定活動があります。

上記で紹介した在留資格では分類できない活動に従事するための在留資格です。

特定活動とは、法務大臣が個々の外国人について指定する活動で、以下のような活動があります。

  • 外交官等の家事使用人
  • ワーキング・ホリデー
  • 経済連携協定に基づく外国人看護師・介護福祉士候補者等

参考:法務省

外国人採用を考える上で重要な在留資格

外国人採用を考える上で重要な在留資格は以下の通りです。

  • 高度専門職
  • 技術・人文知識・国際業務
  • 技能実習
  • 特定技能

それぞれ詳しく解説します。

高度専門職

高度専門職とは、優秀な外国人を日本に招き、日本を活性化させることを目的とした在留資格です。

高度専門職には、1号と2号があります。

1号は高度人材ポイント制の合計が70点に達した場合に与えられます。

高度人材ポイント制とは学歴、職歴、年収などの項目にポイントを設け、ポイントの合計が70点に達した場合、様々な優遇措置が受けられる制度です。

2号は、1号の在留資格をもって一定期間在留した外国人に与えられる在留資格です。

1号よりもより就労範囲が広くなり、優遇措置も異なります。

高度専門職の在留資格を持つ外国人は専門性が高く即戦力になります。

さらに優遇措置として、1号の場合は5年、2号の場合は無制限の在留期間があるため、比較的長期間雇用できる点も魅力です。

技術・人文知識・国際業務

技術・人文知識・国際業務は、外国人がもつ技術や知識を日本に還元することが目的の在留資格です。技術・人文知識・国際業務の例は以下の通りです。

  • 機械工学等の技術者
  • 通訳
  • デザイナー
  • 私企業の語学教師
  • マーケティング業務従事者等

後ほど紹介する特定技能のような単純労働ではなく、専門的な就労に対して付与される点がポイントです。また、日本国内の大学、国外の大学(or短期大学)、日本国内の専門学校のいずれかを卒業している必要があります。

さらに、国際業務カテゴリーでは実務要件を満たす必要があるケースもあります。

技能実習

技能実習とは、日本の技術や知識を発展途上国へ移転し、経済発展を担うための在留資格です。発展途上国の青壮年が、最長5年間かけて、日本企業の雇用の下で技能を習得します。あくまで国際協力を目的としており、労働力を確保するための制度ではありません。

特定技能との違いは次の見出しで詳しく解説します。

技能実習生を受け入れる方法には「企業単独型」「団体管理型」があります。

企業単独型は、海外支店がある企業や海外と取引のある企業が、取引先の従業員を技能実習生として受け入れる方法です。

団体監理型は、事業協同組合や商工会などの非営利管理段団体が技能実習生を受け入れ、加盟企業が技術実習を行う方法です。

ほとんどの場合が団体監理型による技能実習生です。

また、技能実習生の対象となる職種・業種は以下の通りです。

  • 農業
  • 漁業
  • 建設
  • 食品製造
  • 繊維・衣服
  • 機械・金属
  • その他

例えば農業なら、耕種農業、畜産農業、林業のようにさらに細かく分類され、全部で91の職種があります。

現在はインバウンドの影響もあり、その他に含まれる「宿泊」が増えています。

特定技能

特定技能とは、日本で人材が不足している産業分野において、即戦力となる外国人の就労が可能になる在留資格です。特定技能には1号と2号があり、在留期間、求められる技能水準、取得方法などが異なります。

特定技能は、技能実習とは異なり、労働力を確保することが目的です。

目的以外にも、以下のような違いがあります。

 技能実習特定技能
在留期間  合計最長5年1号:通算5年 2号:上限無し
転職の可否不可 ※転籍は可能
受入方法  海外の送出機関と契約している監理団体制限無し
受入人数  制限あり制限無し ※建設、介護を除く
家族帯同の可否  不可1号:不可 2号:要件を満たせば可
作業内容専門性の高い労働単純労働を含む
職種91職種 参考:厚生労働省16職種

また、特定技能の対象となる職種は以下の通りです。

  • 介護
  • ビルクリーニング
  • 工業製品製造
  • 建設
  • 造船・舶用工事
  • 自動車整備
  • 航空
  • 宿泊
  • 農業
  • 漁業
  • 飲食料品製造業
  • 外食業
  • 自動車運送業
  • 鉄道
  • 林業
  • 木材産業

参考:外務省

また、特定の条件を満たせば、技能実習から特定技能に移行できます。ただし、全ての職種で移行できるわけではない点に注意しましょう。

在留資格を活用した外国人の就業事例

在留資格を活用した外国人の就業事例を紹介します。

  • 高度外国人材を新卒採用「株式会社ワークス」
  • 40名を超える外国人社員が活躍「ソルテック工業」
  • 特定技能人材で即戦力を確保「愛知製鋼株式会社」

在留資格をもつ外国人を採用するとどのような好影響があるのか、参考にしてみてください。

高度外国人材を新卒採用「株式会社ワークス」

株式会社ワークスでは、海外展開を強化したいと考えていました。

そこで、高度外国人材を新卒で採用し、現地法人責任者候補として育成しています。

外国人材の採用をきっかけに、社内報に外国人材からの情報発信欄を設置したり、母国料理を囲んで社内交流をしたりしました。

結果として、外国人材の熱意が社内の追い風になったり、外国人材の気づきが社内用語の整理につながったり、様々なメリットを得られました。

参考:九州経済産業局

40名を超える外国人社員が活躍「ソルテック工業」

ソルテック工業では、ベトナム、中国、ミャンマーなど多様な外国人材が活躍しています。

ソルテック工業は、せっかく受け入れた技能実習生が、帰国後、家業の手伝いなど学んだ技術を活かせていないことをもったいなく感じていました。そこで、ベトナム・カンボジアの現地派遣ミッションに参加し、ベトナム拠点を設立しました。結果として、合計で500名近い従業員を雇用する規模にまで成長します。日本で働いた後、現地で幹部候補生として活躍する社員もいるなど、技能実習の目的を果たしています。

また、社内では日本語講師による学習機会を設けたり、外国人の「いいね」と思う行動を社内で共有したり、外国人受入の体制の整備に力を入れています。

参考:近畿経済産業省

特定技能人材で即戦力を確保「愛知製鋼株式会社」

愛知製鋼株式会社では1号特定技能外国人を53人採用しています。(2024年8月時点)

多くの特定技能外国人材が自社で3年間の実習を経ているため、職場の雰囲気や日本での生活に慣れているのがメリットです。社内からは即戦力という評価を受けています。

また、特定技能人材の定着・活躍の支援として、以下のような取り組みを行っています。

  • 同じ母国を持つ人材を先輩につける
  • 社内での日本語指導や学習支援
  • 月1回の相談会

参考:経済産業省

外国人採用・外国人受入のポイント

外国人採用や外国人受入を行う場合、以下のポイントを押さえておきましょう。

  • 在留資格の確認
  • 日本語レベルの確認
  • 価値観・文化の違いを理解・共有
  • 教育・サポート体制の整備

まずは在留資格をしっかり確認しましょう。

在留カードの有無はもちろん、種類までしっかり確認することで、在留期間の再確認や職種のミスマッチ防止に繋がります。

また、日本語レベルの確認も重要です。

日本語能力試験のレベルや面接で、日常的なコミュニケーションに問題が無いかを確認しておきましょう。 さらに、価値観や文化の違いを理解・共有したり、教育・サポート体制を整備したり、外国人が働きやすい環境を作ることが大切です。

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