次世代技術と呼ばれるWeb3ですが「耳にしたことはあるけど詳しくは知らない」とお悩みではありませんか?
そこで今回はWeb3のメリット、具体例、課題などを解説します。
Web3について詳しく知るためにも、ぜひ最後までお付き合いください。
Web3とは
Web3とはブロックチェーン技術によって分散化された次世代のインターネットです。
ブロックチェーン技術とは、ネットワーク上にある端末同士を直接接続して、取引記録を暗号技術を用いて分散的に処理・記録するデータベースの一種です。
参考:総務省
特定の企業や管理者に依存せずに情報を個人で管理できます。
総務省によるとWeb3のグローバル市場は2021年で5兆円、2027年には67兆円に成長すると予測されています。国内市場は2021年で0.1兆円、2027年には2.4兆円に成長する見込みです。
参考:総務省
Web3が次世代技術と呼ばれる理由
Web3が次世代技術として注目されている理由は、Web2の課題を解決できる見込みがあるからです。
Web2とは2000年代中頃以降におけるインターネットの形で、私たちが現在利用しているインターネットはWeb2にあたります。Web2を一言で表すと「双方向的なインターネット」です。XやInstagramなどのSNSがWeb2の代表例です。Web2ではテキスト、画像、動画などのコンテンツが急速に発展しました。また、いいね機能やコメント機能で双方向的なコミュニケーションも可能に。さらに、スマートフォン、タブレット、PCなど使用端末の幅も広がりました。消費するだけでなく参加するものに変化した点が大きな違いです。
一方で、Googleをはじめとする大企業が運営するプラットフォームにデータが集中したことによる情報漏えいのリスクが問題視されていました。
しかし、Web3ならデータが分散され、プラットフォームを介さずにデータを管理できます。Web3の登場でWeb2の中央集権的なインターネットから自由で安全なインターネットへの移行が期待されています。
Web3のメリット
Web3のメリットは以下の通りです。
- セキュリティが向上する
- 仲介不要で通信可能
- 誰でも自由にサービスを利用できる
それぞれ詳しく解説します。
セキュリティが向上する
Web3は個人がブロックチェーン技術を用いて情報を分散して管理する非中央集権なので、情報漏えいの心配が極めて少ないと言えます。Web2では情報がサーバーやクラウドにまとめて保存されていたため、サイバー攻撃やハッキングによって情報が漏えいする心配がありました。
また、ブロックチェーンは取引データを暗号化したハッシュ値を利用して通信するため、情報の改ざんが極めて困難です。
※ハッシュ値とは、特定のアルゴリズムによって作られる不規則な文字列
さらに、ハッシュ値には不可逆性があるため、元データの復元が極めて困難です。
上記のような理由から、個人情報や企業情報など重要な情報を保護する救世主として、Web3が注目されています。
仲介不要で通信可能
Web3にはP2Pと呼ばれるスマートフォンやPCなどを用いたサーバーを介さずに直接データを共有できる技術があります。プラットフォームを仲介せずにユーザー同士が直接通信できるため、効率的かつ迅速なやり取りが可能です。また、手数料や仲介料なども必要ありません。さらに、プラットフォームのガイドラインなども無いので、言論の自由も確保されます。
誰でも自由にサービスを利用できる
Web3は制限なく誰でも自由にサービスを利用できます。
私たちが住む日本では、誰でも自由にインターネットを利用できますが、日本のような国だけではありません。
例えば、中国では60以上の条例でインターネットに対する検閲が行われています。
LINE、Google、YouTubeなども制限されています。
しかし、Web3なら国や企業に規制されることはありません。
Web3を用いた技術の具体例
Web3を用いた技術の具体例を紹介します。
- NFT
- 仮想通貨(暗号資産)
- DAO
- web3 js
どんな技術があるのか、見ていきましょう。
NFT
NFTとは「Non-Fungible Token」の略で、直訳すると「代替不可能なトークン」を意味します。NFTは仮想通貨と同じくブロックチェーン上で発行・取引されます。
従来のデジタルデータはコピーや改ざんが容易だったため、資産価値を持ちませんでした。しかし、ブロックチェーン技術を用いたNFTはコピーや改ざんが極めて難しく、アート、音楽、イラストなどのデジタルデータにおける所有権を公的に証明できます。そのため、唯一無二の価値を持つようになりました。簡単な言葉で表せば「証明書付きのデジタルアート」です。
2023年にはBeepleが制作した「Everydays—The First 5000 Days」に79億円の価値が付くなど、NFT業界は盛り上がりを見せています。
仮想通貨(暗号資産)
仮想通貨とはブロックチェーン技術を用いた財産的価値です。銀行などの第三者を介さず財産的価値を世界中でやり取りできます。暗号化技術を用いているため、不正も極めて起こりにくいのが特徴です。仮想通貨の代表例には、ビットコインやイーサリアムがあります。
また、仮想通貨はインターネット上で暗号化された電子通貨であるため、海外への送金が手軽で、手数料もほとんどかかりません。一般的に海外送金を行う場合は、既存の銀行を仲介するため、時間や手数料がかかります。しかし、仮想通貨なら24時間365日、スピーディーかつ安く取引が可能です。
さらに、仮想通貨は投資先としても注目されています。価値が常に変動するため、売買やトレードによって利益を生み出せます。株式投資やFX取引のように金融機関等の営業時間に左右されず取引できるのも大きなメリットと言えるでしょう。
DAO
DAOとは「Decentralized Autonomous Organization(分散型自律組織)」の略称で、特定の管理者が存在せず、参加者同士で協力して運営する組織体系です。
DAOの特徴は以下の3つです。
- 高い透明性
- 民主的・主体的な運営
- 改ざんや不正が極めて困難
DAO組織の意思決定は投票で行われ、投票結果はブロックチェーン上のルールであるプログラムに従って表示されます。ブロックチェーンはオープンソースとして公開されているため、透明性が高く、途中で改ざんや不正ができません。
また、参加者全員がデジタル資産を持っているため、従来の中央集権のように権限や資産が集中することはありません。さらに、参加者が主体的に運営を行う点もDAOの特徴です。年齢、国籍、能力に関わらず、誰でも参加できます。
国内では「Ninjya DAO」というコミュニティが人気で、小説、漫画、ゲームなど様々なクリエイティブ活動が行われています。
web3 js
Web3 jsとは、イーサリアム財団が構築したJavaScriptライブラリです。
JavaScriptを使用したWebサイトやアプリからイーサリアムのデータにアクセス(操作)できます。
Web3 jsはDAppsと呼ばれる次世代のアプリケーションの開発に欠かせません。DAppsはスマートコントラクトが核となっています。スマートコントラクトとは、あらかじめ設定したルールやトリガーに従って自動的に実行されるプログラムです。契約や契約を自動化できるため、コスト削減に繋がります。
また、DAppsはブロックチェーン技術を用いているため、個人情報が漏えいしにくく、データの改善・不正も起きにくいのが特徴です。さらに、DAppsはデータや処理が分散しているため、ブロックチェーンの一部でトラブルが発生しても、問題なく稼働し続けられます。
Web3の課題
Web3には「法整備が不十分」「高いリテラシーが必要」という課題があります。
Web3が浸透して間もないこともあり、国内での法整備が不十分です。全てが自己責任というリスクの高さから普及に歯止めがかかったり、Web3人材が海外企業に流出したりしてしまっています。
また、Web3を取り扱うには高いリテラシーが必要です。例えば、ウォレットやアドレスの管理など、一般のユーザーにとっては扱いにくい部分が多くあります。そのため、早急な利便性の向上が求められています。