「海外のITエンジニア事情を知りたい」「海外エンジニアの採用ってどうなの?」とお考えではありませんか?
今回は海外のITエンジニア事情をITエンジニアの数やITエンジニアの賃金の視点から解説します。日本のITエンジニアとの違いや採用するメリットもわかるので、ぜひ参考にしてください。
海外でITエンジニアが多い国
ヒューマンリソシア株式会社が行った調査によると、2023年における世界のITエンジニア数は推計2,680.5万人です。前年に比べると306.8万人、13.3%増加しています。
新型コロナウィルスの影響により業務のオンライン化が急速に進み、それに伴いITエンジニアも増加したと考えられます。
海外のITエンジニア数のランキングは以下の通りです。
- アメリカ:445.1万人
- インド:343.1万人
- 中国:328.4万人
- 日本:144.0万人
- ドイツ:121.7万人
- イギリス:120.8万人
- ブラジル:114.4万人
- ロシア:98.9万人
- 韓国:84.1万人
- フランス:77.3万人
また、世界のITエンジニアの割合は以下の通りです。
- アジア・太平洋:38.4%
- 北米・中南米:24.9%
- ヨーロッパ:32.0%
- 中東:2.7%
- アフリカ:2.0%
参考:ヒューマンリソシア株式会社「~2023年版:データで見る世界のITエンジニアレポートvol.9~」
「ITが後れている」と言われている日本ですが、ITエンジニアの数だけを見ると、実はそこまで後れてはいません。
海外でITエンジニアの賃金が高い国
ヒューマンリソシア株式会社が2022年に行った調査によると、海外のITエンジニアの給与ランキングは以下の通りです。
- スイス:100,053USドル
- アメリカ:89,161USドル
- イスラエル:85,131USドル
- デンマーク:70,772USドル
- パナマ:63,318USドル
- ノルウェー:61,125USドル
- ドイツ:59,041USドル
- オーストラリア:56,994USドル
- フィンランド:53,673USドル
- オーストリア:52,338USドル
※USドルに換算
日本は20位(38,337USドル)です。
前述したITエンジニア数ではトップ10に入っていますが、賃金ではトップ10に入っていません。
海外のITエンジニアと日本のITエンジニアの違い
海外のITエンジニアと日本のITエンジニアの違いを以下の項目から比較します。
- 給料
- 働き方
- 雇用
- 重視するポイント
給料
前述のデータを参考にすると、日本人ITエンジニアの給料は38,337USドル(日本円で約586万)、アメリカ人ITエンジニアの給料は89,161USドル(約1,364万) と、2倍以上の差があります。
日本のITエンジニアの給与水準の低さがわかります。
働き方
日本は年功序列の考え方がいまだに残っています。IT業界も例外ではありません。
実力ではなく、働いた年数で給料や役職が決まりやすいため、経験の少ないエンジニアが上の役職に就くケースもあります。そのような状態は、業務のマンネリ化や企業の成長抑制に繋がるでしょう。
「実務を経て成長する」というルートが確保されていない点が問題です。
また、日本社会全体の残業や休みの取りづらさも問題です。
さらに、リモート環境で働きやすいIT業界でも、いまだにオフィス勤務が主流という企業もあります。
一方でアメリカは実力主義です。
プログラミングの知識のある人や成果を出した人が出世します。実務経験や実力のある人が上司になるので、上手くチームをまとめて、質の高いプログラムを作ります。
また、アメリカは仕事が終わらなくても基本的に残業をしません。家族や恋人との大切な用事があればすぐに休みを取ります。アメリカ社会や企業全体の風潮なので、たとえ新人だとしても気兼ねなく休みを取れます。
リモートワークやフレックスも浸透しており、ライフワークバランスが取れているため、離職率も抑えられるでしょう。
雇用
日本は終身雇用という考え方があるので、雇用は比較的安定しています。
また、年功序列という考え方もあいまって、正社員にこだわって働き続ける人が多い印象です。終身雇用という考え方が海外や他企業との競争に歯止めをかけているという見方もできるでしょう。
一方、アメリカに終身雇用という考え方はほとんどありません。
上から突然解雇を言い渡されたり、社員が理由なく退職したりするケースもあります。
しかし、技術さえあれば面接などで空白期間や年齢も問われにくいので、再度働きやすいというメリットもあります。
実力主義で競争力が高いため、国全体のレベルも上がると考えられます。
非正規社員やフリーランスとして働くエンジニアも多いようです。
重視するポイント
日本が重視するポイントは「質」です。
日本製品の品質は「ジャパンクオリティー」として世界から評価されています。
ただし、品質を求めるあまり、市場参入のタイミングが遅れたりエンジニアの残業や長時間労働が発生したりする問題もあります。
アメリカが重視するのは「意思決定のスピード」です。
新しいアイデアがあったら、まずチャレンジします。市場のニーズにいち早く対応できる、失敗を糧に次の開発に生かせるなどのメリットがあります。
しかし、予期せぬトラブルが発生しやすいというデメリットもあるでしょう。
海外のITエンジニアを採用するメリット
日本文化の人気や企業の受け入れ体制の拡大などの理由から、現在、日本では多くの海外ITエンジニアが働いています。
そこで、海外のITエンジニアを採用するメリットを紹介します。
- 国内のITエンジニア不足を解決できる
- 最先端の技術をもつITエンジニアを確保できる
- グローバル化を推進できる
それぞれ詳しく見ていきましょう。
国内のITエンジニア不足を解決できる
現在、日本国内では、コロナによるIT市場の拡大や急速な技術の進歩により、ITエンジニアが不足している状況です。経済産業省によると、2030年には約79万人のIT人材が不足すると予測されています。
参考:経済産業省
国内だけでなく海外からの採用にも視野を広げることで、足りない人材を補えます。
最先端の技術をもつITエンジニアを確保できる
アメリカをはじめとするIT先進国は実力主義です。
技術向上や新技術の取得に積極的な人材が多く、また、常に最先端の技術に触れています。さらに、競争も激しいため、特定の分野だけでなく幅広い領域に対応できる人材が増えています。受け入れ体制さえ整っていれば、即戦力として活躍してくれるでしょう。
グローバル化を推進できる
海外のITエンジニアを採用すれば、人材確保だけでなく、グローバル化の推進にもつながります。IT先進国の主な公用語は英語のため、最新技術に関する専門書やトレンドに関する情報は英語で発信されます。その点で、英語に乏しい日本は後れを取ってしまいます。
そこで、高い英語力を持つITエンジニアを採用できれば、情報収集などもしやすくなります。海外への事業拡大のきっかけにもなるでしょう。